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ハロウィン記念小説 ④

今日は10月231日!(オイ)
そんなわけで、ハロウィン記念小説の続きいきまーす!
あ、これを読む前に、①~③を読むと分かりやすいかもね(←いい加減反省しろ)

”完成したよー。”

アブソルの柔らかい毛が気持ち良くて、もたれたままウトウトしていると、バタフリーの声が聞こえてきた。

ぼんやり目を開けると、大きなお皿をアメモースと一緒に支えながら、バタフリーがこっちに向かってきている。

”オイラの方も……ま、こんなモンっスね。”

フライゴンが最後に一息、炎を吹きかけてフライパンを下ろした。

起き上がろうと体に力を込めると、アブソルが背中を押して起きるのを手伝ってくれた。

「ありがとう、アブソル。」

草の上に座ったところで、ちょうどバタフリーとアメモースが目の前に降りてきた。

「これは……?」

二人の持っていたお皿には鉛筆くらいの長さの木の棒みたいなものが沢山盛られている。

”まあ、食べてみれば分かるわよ。”

ロゼリアがてくてく歩いてきて、棒を一本つるを巻きつけて取った。

”ストップ、姉さん!”

何故か、そこでフライゴンが制止の声を上げる。

”姉さん、一番手はオイラにやらせてほしいッス!”

”どうしてよ?こういうのは現場監督がまず試してみるっていうのが相場じゃない。”

ロゼリア、怒鳴ってたけど何してるんだろうって思ってたら監督さんだったんだ。

”ハルカ嬢ちゃん連れてきたのオイラなんスから、それくらいさせてくれてもいいと思うッス!”

”言われてみればそうねぇ……。”

ロゼリアはそう言って、ちらりとみんなを見渡す。

”まあ、仕方ないんじゃない?確かに、今回のはフライゴンの手柄だしさぁ。”

”うんうん。”

”それに、一番手譲ったからって言って、ぼく達が出来なくなるわけじゃないしね。”

”そうそう。”

”何より、こういうのは相手が慣れてきた辺りで挑戦するのがスリリングで面白いしねー!”

”というわけで、フライゴン、一番手はあなたにお譲りします。”

”何か、そう言われると癪ッスね……。”

ジト目でみんなを見つつも、フライゴンが木の棒みたいなものを手に取る。

”そして、これをオイラ特製のミックスジャムにつけて……。”

持っていたフライパンに入ってるトロッとしたものに棒をくぐらせる。

”出来上がりッスー!”

それを掲げたフライゴンに、ぺちぺちぺちとみんなから拍手が上がった。

「うわあ……!」

ジャムの甘い匂いがより強く香ってくる。

”んでもって、これを!”



ぱくっ!



「ああっ!?」

わたしの目の前でフライゴンが口に入れてしまった。

「な、何で……くれると思ったのに……。」

ショックのあまり、声が途切れ途切れになってしまう。

いつもはそんなに動揺しない方だと思うけど、食べられると思ったものを取り上げられるなんて……。

「うっ……。」

”あー、フライゴンが泣かしたー。いけないんだー。”

”でも、涙を必死で堪えてる顔、可愛すぎ。”

”私があの人なら激写してるところね。”

”ええ、そそりますね、本当に。”

”うるはいッふ!”

棒をくわえたフライゴンがみんなを一睨みする。

”ハルカ嬢はん、違うっふよ。ほら、こっひこっひ。”

にこにこ笑ったフライゴンがちょいちょいと爪を振る。

「……?」

爪の先にはフライゴンの口にある棒のくわえられてない方があった。

”ほらほら。”

フライゴンがしゃべる度にユラユラ揺れる。

何だか追いかけたい揺れ方。

今、エネコの耳と尻尾を付けているせいなのかどうなのか分からないけど、それはエネコだった頃の感覚を思い起こさせた。



ぱくっ!



思わずくわえると、フライゴンがカリカリ棒を食べ進んできた。

負けじとこっちも進んでいく。

でも、あんまりにもフライゴンの顔が近づいてきたから、思わず口を離してしまった。

”はい、おちびちゃんの負けー!”

「ええっ!?」

負けって何?

”これはポッキーゲームっていうんスよ。”

勝者のフライゴンが自慢げな表情で言う。

バタフリーもパタパタ降りてきて、棒を一本取った。

”二人でこのスティックの端と端をくわえて食べ進むんだよ。先に口を離した方が負けってゲーム。ハロウィンってイベントに相応しいゲームでしょ?”

そうだったんだ……。

フライゴンがお菓子をくれなかったのは意地悪したからじゃなかったのかも。

”これはハロウィンってことで、ジャポの実を練り込んだ特製スティック。秘伝の加熱法でカリカリとホクホクを同時に楽しめる出来となっておりまーす!”

「ホントだ……。」

カリッと歯ざわりのいい感触の後にくる、ふわっとした柔らかい舌触り。

それが甘いジャムによく絡んでとても美味しかった。

”じゃあ、次はぼく!口を離さずに長く食べた方が勝ちだからね!”

「次は負けないかも!」

バタフリーのくわえたスティックに、わたしは跳ねるエネコのように勢い良く飛びついた。






”なかなかやるわね……。”

ロゼリアが口元についたジャムを拭いながら言う。

「へへっ。」

最初の方は負けちゃったけど、今はもう連戦連勝!

進みすぎて口と口がくっついちゃうこともあったけど、負けると食べる分が少なくなっちゃうし。

少なくなると言えば、結構スティックも減ってきたけど、フライゴンの作ってくれたジャムはとても美味しくって全然飽きなかった。

きっと、わたしの好きなモモンだけじゃなくて、沢山の木の実がバランス良く入ってるから、味に深みがあるんだろうな。

食べるのに夢中だったから詳しくは分からないけど。

うん、後で作り方聞いてみよう。

”さあ、ハルカさん、今度は私が相手です。次こそは負けませんよ。”

「今度も勝っちゃうかも!」

挑戦してきたアブソルのスティックの端をくわえる。

折らないように慎重に、でも負けないように素早く食べ進んで……。



ちゅっ。



「今度もわたしの勝ちー!」

”うーん、また負けてしまいましたかー。ハルカさんは強いですねぇ。”

残念そうに笑うアブソル。

「へへっ。またの挑戦待ってるかも!」

”ええ、是非――っ!?”

その時、アブソルの笑顔がいきなり凍りついた。

「へぇ、随分と楽しそうじゃないか、ハルカ……。」

低いその声は後ろの茂みから聞こえた。





続く


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