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ハロウィン記念小説 ⑤

今日は10月231日プラス50時間!(オイ)
新緑の森もカボチャ色、やっと完結です!
それではスタート!




”バ、バカな!私達がここまで接近されるなんて……!”

”オイラ、全然気付かなかったッスよ!?”

”うん、ぼくもー。”

”あり得ないわ!この人、ただの人間のはずなのに!”

みんなが揃ってビックリしている。

後ろを振り返ると、シュウがちょうど茂みから出てきたところだった。

「やあ、ハルカ。」

ニコリと笑いかけられる。

そうして、座っているわたしに視線を合わせるようにしゃがんでくれた。

「こんなに口の周りを汚して何をしていたんだい?」

「ポッキーゲームよ。とっても楽しいかも!」

「へぇ……、ポッキーゲーム……。」

シュウの笑顔が深くなる。

俯いて、低い声のまま、何かを呟き始めた。

”……ハルカ嬢ちゃん、ハルカ嬢ちゃん。”

シュウがぶつぶつ言っている時、とても小さな声で呼びかけられた。

”何でここの場所が分かったのかシュウさんに聞いてみてほしいッス。”

「え、でも、どうして?」

”どーしてもッス!”

フライゴンが真剣な目をして強く囁く。

”シュウさんがこの場所知ってるはずが無いんス!オイラ、完全にまいたはずなのに!”

”でもって、ぼくがシュウさんの家から調理器具取ってくる時も目撃されてないのは確実なのに!”

バタフリーも焦ったように続けた。

”とにかく、何でバレたのかが分かんないと、これからの対策の立てようが無いんだよ!とにかくお願い!”

対策って何だろう?

あ、今度はシュウの好きなお菓子を作ってあげるのかな。

ここに来るまでのルートで木の実とか採って食べちゃってたら、それじゃなくて他のもの使ったお菓子食べさせてあげたいもんね。

「ねえ、シュウ?」

「……何だい、ハルカ?」

「どうして、ここが分かったの?」

「……ああ、彼らが訊いてくれって?」

「うん。」

”ぎゃーっ!そこで頷いちゃダメッスー!”

フライゴンが小声で叫ぶ。

「……ぼくだって彼らとは付き合いが長いからね。森の地形さえ分かっていれば、行きそうな場所は分かるよ。」

「シュウもみんなとは仲良しだもんね!」

「仲良し……そう、仲良しかな……。」

ふふふ、とシュウが下を向いたまま含み笑いをする。

”違う、違うッスよ、ハルカ嬢ちゃん!”

フライゴンが首をブンブン振る。

”オイラ達とシュウさんは確かに仲良しッスけど!でもそれは違うッス!”

「どういうこと?」

”シュウさんはぼく達の思考パターンをデータ化して、それを森の地図と照らし合わせてぼく達の場所を割り出したんだよ!何の手がかりも無いところから!”

話に入ってきたバタフリーがその他にもイレギュラー因子とか相互に干渉し合う思考とか色々言ってる。

「それって凄いことなの?」

”凄いに決まってるじゃん!確かに、ぼくだって似たようなことは出来るけど、こんな短時間で見つけるなんて無理!絶対無理!”

「そうなの?わたしはみんなのいる所って何となく分かるけど。」

”……。”

いきなり、興奮していたバタフリーが静かになった。

額に汗を浮かべながら、ロゼリアが呟く。

”いつもはポケポケしてるように見えるけど、この子は私達と出来が違うんだったわね……。”

”単純に考えて、その頭脳を生み出したシュウさんはハルカ嬢ちゃんと少なくとも同等っていうことッスよね……。”

「ああ、そうそう。」

”ひいいいっ!?”

シュウがぼそりと口を開くと、みんながひと固まりになった。

「今、君達がハルカを連れて逃げてもだいたいの場所は分かるから。……逃がさないよ。」

”ひええええっ!”

シュウは怒鳴ってるわけでもなくて、穏やかに話しているだけなのに、みんなは何かを言われる度に体を寄せ合っている。

「シュウ。」

シュウはまだ何かを言おうとしていたみたいだけど、わたしはそれを無視して話に割り込んだ。

「わたし、シュウから逃げたりしないよ?」

どうしてみんなが怯えるようにくっついてるのかは分からなかったけど、わたしがみんなと逃げるんじゃないかってシュウが思ってるのは分かったから。

シュウの俯いた顔をさらに下から覗き込む。

草の上に手をついて、シュウの綺麗な目の近くに自分の顔を持ってきて。

「エネコの頃も、人間になっても……今はエネコの格好してるけど。でも、どんな姿になっても、わたしはシュウの傍にいるかも。」

”そ、その体勢はちょっとヤバイっスよ、ハルカ嬢ちゃん!”

「わたしは他のどんな所よりも、シュウのここが好きなんだからね。」

”ぎゃーっ!マジでヤバイっスー!”

シュウの胸に頬を擦り寄せると、フライゴンが大絶叫した。

さっきからヤバイヤバイってどうしたんだろ……あ。

「ご、ごめん、シュウ!ジャム付けちゃった!」

口元にジャムが付いてたのをすっかり忘れて、シュウの服を汚してしまった。

今ならまだ何とかなるかと急いでシュウの服の胸元を舐める。

”うぎゃあーっ!ダメっス、ハルカ嬢ちゃーんっ!!”

その叫び通り、舐める度に近づきすぎて顔のジャムが服に付いてしまう。

言うこと聞けば良かった……。

「いいよ、ハルカ。」

「シュウ……?」

顔を上げると、シュウの優しい眼差しが目に映った。

「洗えば落ちるだろうし。そんなことより……。」

シュウの手が頭に乗る。

「ありがとう、ハルカ。ぼくの傍にいてくれて。」

エネコでも人間でも変わらない、シュウの優しい温度。

それに何もかも忘れてうっとりしそうになるけれど。

「そんなことじゃないかも!早く帰って水につけないと!」

フライゴンのジャムは色んな木の実を使ってる。

その中には染みになりやすい木の実もあるかもしれない。

「ごめん、みんな!せっかくお菓子作ってもらったけど、もう帰らなくちゃ!」

”でも、ハルカ嬢ちゃん、今帰ったら……。”

「そうだね。送ってくれるかい、フライゴン?」

”謹んでお送りするッス!”

バッと頭をお辞儀のように地面すれすれまで下げたフライゴン。

その背中にシュウと一緒に乗る。

「みんな、お菓子ありがとう!また明日ね!」

飛び立つフライゴンの背中から、みんなに向かって大きく手を振った。







「ハルカ、もしかして、君はまだハロウィンを祝い足りないんじゃないのかい?」

ぼくが言う筋合いではないのだけれど。

間違いなく、フライゴンはそう思っているだろうけど。

背に掴まるハルカにそう問いかける。

「ん……いい。ずっとあそこにいたら、シュウの服そのままになっちゃうし……。」

後ろ髪を引かれているのが丸分かりな口調のハルカ。

「……家に帰って落ち着いたらハロウィンの続きをしようか。」

「ホント!?」

ハルカの声が喜びに染まる。

「ああ、もうすぐ日も暮れるしね。ハロウィンの本番は夜なんだよ。」

「そうなんだ!」

「ああ。……夜が楽しみだね、ぼくの可愛いハルカ。」

「うん!楽しみ!」

ハルカの返事にフライゴンの悲鳴が重なった。






おしまい





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