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おしゃべりマナフィ 「わな」 ④

えー、ずっと前の小説の完結編です。
随分時間が経ってしまったので、「わな」の①~③を先に読んでから読んだ方がいいかもしれません。
ではスタート!




なでなで。ぷにぷに。すりすり。

「な、何やってるの、マナフィ?」

「ハルカのまねー。」

「えっ……!」

ハルカがしていたようにシュウに触ったり、ほっぺをくっつけてみたり。

それに、シュウの顔を眺めてみた。

じーっと見つめてみた。

「マナー……。」

確かに、ハルカの言う通り、ここまで見たことはないかもしれない。

よく見ると、今まで気付かなかったことが見えてくるような気がした。

例えば、マナフィはハルカのほっぺが好きだけど、シュウもそれと同じくらい柔らかそうだとか。

ふにふにほっぺを押してみる。

いつもは髪に隠れている耳の耳たぶもとっても気持ちよさそうだとか。

一旦、シュウの胸から降りて、耳にちゅっとキスをしてみる。

ついでに、シュウの頭もなでなで。

えっと、それから……。

「マ、マナフィ、お願い、もうやめて……。」

「マナ?」

もう一度、シュウの胸に登ろうとすると、いきなりハルカに抱き上げられた。

そのまま、ぎゅーっと背中から抱き締められる。

「ハルカー?」

後ろを見上げると、真っ赤っかなハルカ。

顔が赤いのはさっきからだけど、よーく見ると、目が何だかうるうるしている。

「どーしたのー?」

「……。」

「ハルカー?」

「うう……。」

またまた抱き締められる。

今度は後ろも向けないくらい強いぎゅーだった。

「マナフィ、どうしてわたしの真似するの……?」

「フィ?」

それはもちろん……

「あのねー、えーと。」

ハルカはあんまりいいものじゃない「わな」に「かけられた」はずなのに何だか嬉しそう。

その理由は「いつもは見られないシュウの顔が見られる」から。

だから、見られるようになった「わな」が嬉しい。

でも、「わな」は片方だけが楽しいこともある、あんまり良くないもの。

なのに、ハルカはシュウにくっついて嬉しそう。

「マナー……。」

ぐるぐる回る、マナフィの頭の中。

話を聞くだけじゃわからなかったから、マナフィもシュウに触ってみたけどもっとわからなくなった。

確かに、シュウの見えなかったほっぺの柔らかさとか、耳とか見られたけど……。

マナフィはハルカの腕の中からシュウの寝顔を眺める。

「……マナ?」

ここでマナフィは気付いた。

いつものシュウはマナフィがこんなにじーっと見つめていたら撫でたり抱っこしたりしてくれる。

今は寝たふりをしているからそれが無い。

だから、いつもは気付かないことに気付けた。

マナフィは一生懸命首を動かす。

頑張ってハルカの顔を見上げると、耳まで赤くなっていたけど、シュウの顔をじっと見ていた。

ハルカもいつも気付かないことに気付きたかったのかもしれない。

でも、いつもはシュウが先にハルカを抱っこしてくれるから気付けなかったのかもしれない。

だから、シュウは寝たふりの「わな」をしかけてハルカが顔を見られるようにしてあげたんだ。

「マナ……。」

でも、「わな」って何かが違うような気がする。

「わな」はしかけた方が楽しくて、しかけられた方はつまらないもの。

シュウはいい「わな」もあるって言ってたし、確かにハルカはシュウを見られて嬉しいだろうけど……。

「マナ!」

ひらめいた!

これは「わな」じゃないんだ!

シュウは「わな」って言ってたけど、これは「わな」じゃなくて……。

「シュウはハルカのおねがいかなえてあげたのー!」

「え……!」

ハルカの腕からマナフィは飛び出した。

そのまま、シュウの胸に飛び乗る。

「シュウ、じぶんのしてること、わななんていっちゃダメー!」

「え、マナフィ!?」

「シュウはわなしかけたんじゃなくて、ハルカのおねがいわかったからハルカができるようにしてあげたのー!だから、そんなふうにいっちゃダメー!」

胸の上で飛び跳ねながら言っていると、大きな手がマナフィの体を持ち上げた。

「……君がそんな結論に至るとはね、完全に予想外だったよ。」

「シュウ!?」

「やあ、ハルカ。」

にこっと笑ったシュウが起き上がる。

そのまま、マナフィを目の高さに掲げた。

「それでマナフィ、ぼくが仕掛けたのは罠じゃないって?」

「そー!わなじゃなくて、シュウみたいっていうハルカのおねがいかなえてあげたのー!」

「随分とぼくに好意的な意見だね。」

「ちょ、ちょっと待って!」

ここでハルカの叫びに似た声が割り込んできた。

横を見ると、ハルカが身を乗り出しながらも逃げたそうな顔をしている。

「ま、まさか……。」

「そう、そのまさか。随分可愛いことをしていたね、ハルカ。」

「っ!」

口をぱくぱくさせているハルカを楽しそうに、また愛おしそうに見つめるシュウ。

マナフィは自分を抱えるシュウの手をぺちぺちして、シュウにこっちを向いてもらう。

「ハルカ、シュウにくっついてシュウみたかったのー。シュウ、しってたからそうしたのー。」

「でも、ぼくに有利な場面だったと思わないかい?ハルカも嬉しいだろうけど、ぼくもいい思いをするだろう?」

マナフィは頭をぶんぶん降る。

「でも、わなじゃないのー!わな、なんかちがうのー!」

そうなのだ。上手く言えないけど、とにかくシュウのしたことはわなじゃない。

「なるほどね、いい罠というものはそもそも存在せず、そう呼ばれるものがあるとすればそれは罠ではないというのが君の解釈か。まあ、それが当たり前で、ぼくがひねくれているのかもね。」

難しいことを言いながら笑うシュウ。

「ひねくれてるの一言で済ませないでよ、シュウのバカ!」

一方、ハルカの顔は色々な感情がごちゃまぜになって泣きそうになっている。

「な、なんで、こんな!」

「フィー?」

マナフィはくるんと身をひねってシュウの手から飛び降りる。

ぱたぱたハルカに走り寄り、膝によじ登った。

「ハルカ、どーしたのー?」

「だって!ひどいじゃない!」

「マナー?」

マナフィはハルカの熱くなったほっぺに両手を当てる。

「ハルカ、いやじゃないっていってたけど、やっぱりいやだったのー?」

それだと、やっぱりシュウのしたことは「わな」で、シュウは良くないことをしたということになる。

「シュウ、わるいことしたー?ハルカ、いやなことされてかなしー?」

「え……。」

ハルカが一瞬ひるむ。

「ハルカ、シュウのこと……。」

「ち、違うわ、マナフィ!そうじゃないの!」

何だか泣きそうな気分のマナフィに、ハルカが慌てて声をかける。

「さ、さっきも言ったでしょ……。恥ずかしいけど、嫌じゃないから……。」

目をそらしつつ、もごもご口の中で言った。

その言葉に、マナフィがほっとしていると、ハルカが突然立ち上がった。

いつの間にか、マナフィもハルカの腕の中にいて、そのまま視線が高くなる。

「でも!やっぱりシュウのバカ!もう知らないんだから!」

そう叫んで、ハルカは庭園の出口目がけてまっしぐらに駆けていく。

最後にハルカの肩越しにひらひら手を振る笑顔のシュウが見えた。







数日後、中央庭園にて。

「今度はこっちが罠に嵌めてやるんだから!」

「ハルカ、シュウのまねっこー?」

「そうよ!今度はこっちから仕掛けるのよ!シュウは絶対わたしに触れたいって思ってるんだから!」

「そーなのー?」

「そうよ!シュウはわたしにベタ惚れなんだから!……べ、別に、シュウにキスしてもらいたいとか、撫でてもらいたいとか思ってないかも!」

「じゃー、やっぱり、わなじゃないー。」









終わり(笑)

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