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新緑の森のダンジョン 春の嵐 2-1

お待たせしましたー。
春シリーズ2-1です。
ではどうぞー。







”つまり、あなたはアブソルじゃないって言うのね、ふーん。”

”信じてないだろう、ロゼリア……。”

何とか騒ぎを収めた後。

リビングのカーペットに車座になって事情説明タイム。

入れ替わってしまった事実と、これまでの経緯を説明し終えたシュウは、ロゼリアの冷たい視線を受けてため息をついた。

”だって、アブソルってよく抜け駆けするしさぁ。”

”アブソル、一人だけ美味しい思いしすぎ。”

”それくらいの嘘、言っても不思議じゃないしさぁ。”

”アブソル、悪タイプ似合いすぎ。”

ちょこんとカーペットに座ったバタフリーと、ひらひら宙に浮いたままのアメモースもさらりと酷いことを言う。

”どれだけ信用されてないんだ、アブソル……。”

「我ながら酷い言われようですねぇ。ですが、それはチャンスを見逃さないだけで、決して抜け駆けではありませんよ。」

”そもそも、君を含めてここの五人、他人の恋人にちょっかい出すこと自体、悪いことだと思ってないのか?”

「ハルカさんは私達の可愛い友達ですから。」

ソファーに座った自分が微笑みかけてくる。

全く嬉しくない。

”でも、アブソル……っていうか、中身はシュウさんって主張してるアブソルの言ってることは本当だと思うッス。”

振り返ると、朝のようにじーっとフライゴンがこちらを見ていた。

”アブソルっていうか……ああ、もうややこしいッスね!とりあえず、今日のアブソルッス!今日のアブソルはおかしかったッス。」

その視線をハルカの隣に座っているアブソル入りのシュウに移す。

ニコリと笑いかけられて確信を持ったように頷いた。

”今日のアブソルはツアーのこと覚えてなかったんスよ!”

”ええええええっ!?”

その「ツアー」という言葉に、ロゼリア始めポケモン達が一斉に驚きの声を上げた。

一気に詰め寄ってくる。

”ちょっと!何そんな大事なこと忘れてるのよ!”

”そうだよ!ぼく達、ツアーのためにあれだけ作戦会議開いたじゃないか!”

”アブソル、ボケすぎ。”

”忘れるも何も知らないんだって……。”

ロゼリア達のアップにシュウは額を押さえた。

ああ、もう頭痛い。

”みんな、それくらいにするッス。”

”フライゴン、あなたは何とも思わないの!?私達の壮大な計画が――。”

”ホントにアブソルの中身がシュウさんだと、話してる内にツアーの中身がバレちゃうッス。”

その言葉にポケモン達はハッと押し黙った。

気になる、色々な意味で。

”それに、今日のシュウさん……。”

フライゴンがハルカの隣に座ったアブソル入りのシュウに視線を戻す。

”アブソル、ハルカ嬢ちゃんが好きそうな木の実を森で発見したんで、またコイキングごっこやらないッスか?”

「ええ、是非ご一緒させてください。」

”ちょっと待てっ!”

二人が言っているのはいつかハルカのお土産に買ってきたコイキングのお菓子のことだ。

少し目を離した隙に、この二人はコイキングでハルカを……。

ああ、思い出しただけで腹が立つ。

”やっぱりッス。”

何がやっぱりなんだ。

”今日のシュウさん、オイラ達の話が通じてるッス。”

”あ、そう言えば……。”

ポケモン達が一度アブソルを見て、こちらを向いた。

”だから、さっきから言ってるじゃないか。入れ替わったって。”

これだけのことを伝えるのに、どうしてこんなに時間がかかるんだ……。

”で、でも……。”

ロゼリアが今更のように慌てながら近づいてくる。

”でも、本当なの?何かの間違いじゃないの?”

”ぼくもそう思いたい。”

”じゃあ、本当にアブソルじゃないの?”

”本当だし、それはあっちに聞けば分かる。”

目で自分の体を差す。

コクリと頷いて、用意していたかのように説明を始めた。

「姉さん、考えてみてください。姉さん達が入ってきた時、姉さんから見てアブソルは何をしていましたか?」

”あの子の顔舐めてたわよ!抜け駆け禁止って言ってるのに!”

「では、姉さんから見た私は何をしていましたか?」

”はっきりとは覚えてないけど、確かニコニコ笑って見てたわ。”

「本当のシュウさんならそんなことを許すと思いますか?そんな状況を笑って見ているなんてことが有り得ますか?」

”有り得ないわね。あの子が可哀想になるくらいヤキモチ焼きなのに。”

本人を前にキッパリ断言する。

ぼくはそんな風に思われてるのか……。

「それに……。」

アブソルがキッチンに続くドアを見やる。

数瞬遅れて開いたそこにはハルカが立っていた。

色々な木の実が盛られた大きな器を持っている。

「朝ごはん、持ってきたけどいい?」

”ああ、おいで、ハルカ。”

ポケモン達が落ち着くまではと思って、ハルカに果樹園の収穫を頼んでいたのだった。

朝に食べる木の実は朝に収穫したものが一番美味しい。

量が多いのは、ポケモン達の好きな木の実を全部持ってきたからだろう。

ハルカはその器をカーペットの上に置く。

そのまま、そこに座り、自然な動きでシュウ入りのアブソルにもたれかかった。

「ハルカさん、私の隣に来ませんか?」

「ん、いい。」

その答えにシュウは満足する。

ハルカが寄りかかりやすいよう、腹ばいの姿勢だったのを少し高くした。

”ちゃんと君の食べる分は別にしてあるだろうね?ポケモン達は食欲旺盛だから、すぐにこれも無くなってしまうよ。”

「ううん、一緒に持ってきたわ。その方が手間も省けるし。」

”おやおや、無くなってしまっても知らないよ。”

「ん、でも……。」

ハルカがきゅうっと首に手を回してくる。

「その時はシュウが分けてくれるんでしょう?」

”ぼくの好みは苦い木の実なんだけどね。君はあまり食べないんじゃなかったかな?”

「シュウの分けてくれる木の実だったら好きかも。」

”……まったく、可愛いことを言う。”

シュウはハルカの頬に自分の頬を擦りよせる。

慣れたようにハルカは抱きつく力を強めた。

”と、とりあえず、すぐに二人の世界に入っちゃうあたり、ホントなんだなーって感じだね……。”

”そ、そうね、ギャラリーのことを考えないあたり、まさしくいつもの二人よね……。”

ロゼリア達は頭を押さえて頷き合っていた。





続く

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