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新緑の森のダンジョン 春の嵐 6-2

皆様、こんばんはー。
最近、やっと春らしくなりましたねー。
一週間くらい前まで寒いやら風が強いやらでコタツが大活躍でした。
今でも風は強いですけどね。
いや、風が強くなれば嵐!タイトル通り!
そんな季節にピッタリの春シリーズ6-2、スタートです!








”はい、みんな注目ー。”

バタフリーが近くに生えている木の幹を枝でぺしぺし叩きながら言う。

手がかりを教鞭みたいに乱暴に扱っていいものなんだろうか。

”いいんじゃないですか。見つけた本人が良いと言うのなら……。”

シュウの隣で、アブソルがやや投げやりに呟いた。

”ハルカさんの居場所はあれくらいのことで分からなくなりはしないという確信があるんでしょう。”

「いや、でも、心情的にあの扱いはちょっと……。」

”こら、そこ!”

葉っぱの付いた教鞭がビシリとこちらを差す。

”ぼくの授業は黙って受けること!あんまりおしゃべりすると立たせちゃうよ!”

「座ってろって言ったくせに……。」

ハルカが攫われたというのに、相変わらずバタフリーはノリノリでしゃべっている。

”話を元に戻すけど、この枝が付いてた木がこれだよ。”

先程までぺしぺし叩いていた木を示す。

あの木、黒板代わりじゃなかったのか。

”ここに折れた跡があるよね。で、この枝はこんな風に生えていた、と。”

シュウの身長よりもほんの少し低いところに、僅かに木の内部の色が覗く箇所がある。

そこにバタフリーは持っていた枝を接いだ。

”ぴったりでしょ?折れ方からして、バシャーモみたいな重量級がぶつかった感じだし、高さも丁度合うし。それに……。”

バタフリーは幹にくっつけていた枝を取り上げる。

”この折れた方向、シュウさんの家から一直線なんだよね。いくら偶然が重なっても、他のポケモンがたまたまこの枝を折ったなんて有り得ないよ。”

確かに、バタフリーが再び示した折れ口は、自分達の来た方向から裂けていた。

”考えるに、あのバシャーモ、目的地に真っ直ぐ向かったんじゃない?いくら強いって言ったって、おちびちゃん抱えながらぼく達と戦えるわけないし。まあ、ぼく達もおちびちゃん巻き込むような戦い方はしないけどさ。”

「じゃあ、ここから真っ直ぐ行ったところがバシャーモの目的地ということか……。」

それにしても、木の枝一本などと細かいにも程がある手掛かりをよく見つけたものだ。

しかも、うっそうと生い茂る木々の中から。

バタフリーの強化された透視能力を用いなければ、ここまで早く相手の足取りを掴むことなど不可能だっただろう。

”そういうこと。ただねー……。”

「ただ?」

先程まで胸を張っていたバタフリーが一転、背中を丸めて重いため息をつく。

”この先ってちょっとした山があるんだけど、その斜面って崖になってるんだよね。”

「そうなのかい?」

森に住んでいるとはいえ、こんな奥にはめったに入らないシュウは思わず聞き返した。

だが、崖だからと言って、バタフリーが困ったように首を振る理由が分からない。

彼のことではあるから、きっと普通困るようなことでは困らないのだろうが。

”待ち伏せされて崖の上から大岩落とされるくらいだったらサイコキネシスで投げ返せるけどさぁ。”

やっぱり。

普通のバタフリーだったら一目散に逃げるような状況でも平然と対応できている。

とすると、彼の無表情だけどきっと困り顔をしている理由は……。

”相手の意図が分からないんだよねー。普通、崖って行き止まりってイメージあるじゃん?そりゃ、イメージだけって言われたらそうなんだけど……。”

木の枝を指揮棒のように振りながら続ける。

”イメージって結構重要なんだよね。この場合のイメージっていうのは本能に近い意味合いかな。何かから逃げる場合、本能的に向かうのを避けようとする場所に敢えて向かうとするなら、そこに何らかの意図があると思うんだよね。”

”でも、それって崖の下での話でしょ?”

今まで黙ってバタフリーの半ば独り言と化した説明を聞いていたロゼリアが口を挟んだ。

”崖の上まで行けば何とでもなるじゃない。バシャーモなら崖なんて簡単に登れるし。”

”それだったら、普通に崖の無い場所選んで逃げればいいじゃん。どうしてわざわざ崖登りなんて面倒なことするのさ。”

”私達の足止め狙ってるとか。”

”それは無いね。ぼく達は空飛べるし。仮にバシャーモがこっちの戦力のことアブソルしか知らないとしても、崖なんてアブソルのホームじゃん。アウェーのバシャーモがアブソルの存在知っててわざわざ崖に向かう意図が分かんないんだよ。”

”アブソル弱体化で恐るるに足らず!って思ったとか。”

”いや、話聞いただけだけど、それだけの使い手ならアブソルの真の実力くらい見抜いてると思うんだよねー。ぼくがバシャーモなら、わざわざアブソルの有利な所で戦うなんて絶対したくないし。”

”だったら、仲間との待ち合わせ場所がそこだとか。”

”だから、わざわざ崖なんかで待ち合わせするのは何で?”

”……。”

”……。”

堂々巡りとは、まさにこんな状況のためにある言葉だとシュウは思った。

確かに、ロゼリアの言う通り、理由は色々考えられるが、そのどれもが決定打に欠けている。

それは同時に、こちらの全く意図しない罠なり思惑なりがある疑いが濃厚で。

「アメモース。」

シュウはポケモン達に軍略家と評価の高いポケモンの名を呼ぶ。

「君はどう思う?このまま何の作戦も無く突っ込んで行くのは下策じゃないだろうか?」

”現状確認。相手側が理由もなく崖に向かった確率はゼロに近い。しかし、現在、こちら側にその理由を推測できるだけのファクターは皆無。”

見上げたアメモースはつぶらな瞳を崖と思われる方向に向けたまま、つらつらと言葉を紡いでいる。

”確率を論じるには不向き。よって、全体の結論のみ述べる。結論、とりあえず用心しながら進む。”

「……。」

”……うわー、アバウトー。”

バタフリーの呟きに心の中で何度も首を縦に振る。

まさか、慎重なアメモースからこんないい加減とも取れる答えが返ってくるとは……。

”オイラ、アメモースに賛成ッス!”

今まで静かだったフライゴンが諸手を上げて喜んでいた。

”だいたい、みんな考えすぎなんス!それに……。”

フライゴンがビシッとアメモースを指さす。

”アメモース、オイラもいっこ質問!ここでちまちま相手の戦力も分からないまま作戦会議続けるのと、さっさと突撃するのはどっちがいい手段ッスか!?”

”突撃を推奨。頑丈なフライゴンを死なない程度に盾にして突撃。”

”ちょ、ちょっと待つッスー!”

いきなり汗をだらだらかき始めたフライゴンにアメモースはふくふくと含み笑いをする。

”もちろん冗談。フライゴン、ビビり過ぎ。”

”今、姉さんがなるほど!って感じでポンって薔薇合わせてたんスけど!?”

”現状で最も戦力になるフライゴンを攻撃に回さない作戦は推奨しない。”

”姉さん、チッとか舌打ちするのはやめてほしいッスー!”

”でも。”

すっとアメモースが笑いを収める。

”相手の思惑に時間を取られる、それこそ下策。時間が経てば経つほど不利になる可能性ありすぎ。よって、多少の危険には目をつぶり、目的地に向かうことを推奨する。”

「決まりだね。」

やたらと賑やかな作戦会議の終わりを察し、シュウは立ち上がる。

またフラリと眩暈がしたが、今回はすぐに収まった。

”では、ハルカさんを助けに行きましょうか。”

横でアブソルも体を起こした。

そのまま、立ち上がろうと――

”おや、姉さん、ありがとうございます。”

ロゼリアがつるをアブソルの胴体に巻きつけ、立ち上がるのを助けていた。

”ちゃんと休めたみたいね。さっきより、脚に力が戻ってきてるじゃない。”

”ええ、おかげ様で。今度、足払いを仕掛けられても余裕で防げますよ。”

”調子に乗らないの。”

ロゼリアは崖の方向を見据えたまま、力強くニヤリと笑った。




7-1に続く


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