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新緑の森のダンジョン 春の嵐 8-3

やあやあ、皆さんこんばんは。
前の更新からまた一カ月以上も経ってしまいました(って、この挨拶は前にも見たことあるような……)
えー、世間ではべストウィッシュも始まっている頃だと思いますが、いかがお過ごしでしょうか?
私はポケモンブラックを買いました。
忙しすぎて、買ってすぐにはプレイできなかったんですけどね。
おおお、プレイしたかった、プレイしたかったよー。
そんでもってブラックですが、レシラムとNがとてもカッコよくて面白かったです。
Nと♀主人公の恋物語に目覚めそうだぜ……。
あ、レシラムはシュウによく似合うと思うよ。

えー、話が長くなりましたが、そろそろ春シリーズ8-3スタートです!
どうぞー!






「アブソル!フライゴン!」

ずっと探していた声。

背中から叩きつけられた激痛に、最初はとうとう限界が来たことで聞こえた幻聴だと思った。

違うと分かったのは、もうもうと上がる粉塵の向こう、崖の中腹辺りの岩棚から身を乗り出す彼女の姿を見たとき。

”ハルカ嬢ちゃん!”

同じく岩に身をめり込ませたフライゴンが痛みを忘れたかのように喜びの声を上げる。

追ってきたバシャーモの拳を素早く飛び立つことでかわし、彼は再び宙に舞い出た。

”待ってるっスよ、ハルカ嬢ちゃん!こんな悪者、オイラがちょいちょいっと一捻りして絶対助けるッスからね!”

俄然戦意が湧いてきたのか、フライゴンはダメージを受けているとはとても思えないスピードで飛び、バシャーモに食らいつく。

”全く、調子がいいんですから……。”

しかし、それは自分も同じようだ。

アブソルはよろめきながら何とか立ち上がる。

彼女の姿を目にした途端、もう立てないと思っていた脚に力が入るのだから。

”ハルカさんが見ているのに、フライゴンばかりにいい格好をさせるわけには――。”

いきませんからね、そううそぶいて再び参戦しようとしたアブソルは、

「待て!」

信じられないものを目にすることになった。

”シュウさん!?”

”何でこんなトコに出てくるッスか!?”

驚いたことで、一瞬出来た隙を突かれ、フライゴンと組み合っていたバシャーモが離脱する。

その勢いのまま、バシャーモが森から飛び出してきたシュウに向かって突進する。

”ちいっ!”

アブソルは岩を蹴る。

しかし、この距離では間に合うはずもない。

”おっとぉぉぉぉぉっ!”

彼女しか見えてなさそうなシュウに向かって繰り出されたパンチを間一髪のところでバタフリーが割り込み相殺した。

威力を一点集中させた銀の風の弾丸を牽制としてバシャーモの右腕にぶつける。

が、お構いなしに第二撃が繰り出された。

”わああっ!誰か!誰かフォローして!あんなパンチくらったらぼく黒焦げになるーっ!”

初撃をしのいだ守りと羽で生み出す風圧で何とか直撃を避けているバタフリーだが、めったにない焦りのにじんだ叫びを上げている。

”さがって!”

その時、木の間から鋭い葉が高速で飛んできて、双方に距離を作った。

間を置かず、森からロゼリアとアメモースが飛び出てきて、シュウとバシャーモの間に立ちはだかる。

”何やってるのよ、あなた!あんな攻撃受けたら骨の二、三本じゃ済まないわよ!”

「文句は後で聞く!それより――!」

アブソルはその言葉を最後まで聞かず、仲間達に体をぶちかました。

数瞬後、超高熱の炎が今まで立っていた岩肌を舐める。

”姉さん達は離れていてください!”

”そうしたいのは私達だって同じよ!”

「聞いてくれ!ハルカを――。」

御託を並べようとするシュウを一睨みし、アブソルはバシャーモに突進した。

格闘タイプのバシャーモ相手に自分から接近戦を仕掛けるなど、一歩間違えば命取りになってしまう。

しかし、シュウが来てしまった以上、距離を取って戦うわけにはいかない。

黒い爪をさらに同色のオーラで覆い、打撃力を強化して、その前足をバシャーモの顔に叩き込む。

かわしたバシャーモに合わせ、間合いを詰めつつ、爪を振りかざし――

”っ……!?”

突然、視界が歪んだ。

遅れて、頭が激しく痛み出す。

チャンスとばかりに、バシャーモが殴りかかってくる。

それを防ごうとして、こちらに向かってくる皆の姿がスローモーションの映像のように流れた。

皆が斜めに見える――ああ、自分は倒れかかっているのか。

「シュウ!?」

彼女の声に、どこかに引きずり込まれかけた意識が覚醒する。

敵を目の前にしていることも忘れ、暗くなりつつある視界の隅に目を向けた。

そこには頭を両手で抱え、両足で必死に体を支えつつも苦悶の表情を浮かべる彼の姿。

この状況は……!

とうとう仕掛けてきた。

姿を見せないエスパー。

だとすると、最も危ないのは悪タイプの自分や仲間の傍にいる彼よりも……。

”ハルカさん……!”

アブソルは妙に拳がゆっくり動いているように見えるバシャーモの肩越しに彼女を見た。

彼女が岩棚の端に両手をついて、身を乗り出しながらこちらに呼びかけ、

「っ!?」

ボロリ、と彼女の手の下にあった岩が欠ける。

支えを失った彼女の体が傾き、

”――っ!”

誰かが何事か叫んだ。

駆け、羽ばたき、跳躍して、皆が彼女に手を伸ばす。

しかし、彼女の体は木の葉のように落ちていき――

「ハルカ!」

シュウが硬い岩盤と彼女の体の間に滑り込んだ。

鈍い衝撃音と共に、シュウの腕に彼女が抱きとめられる。

息すらも潜められた空間。

「う……。」

彼女が身じろぎした。

”よ、良かったッス~……。”

気の抜けたような声と共に、フライゴンがぼてっと地面に落ちた。

「ハルカ、怪我は無いか?」

心配そうに顔を覗き込もうとするシュウに答えず、ハルカがシュウの背に腕を回す。

こちらからは背中の服の布地をぎゅっと握りしめる彼女の腕しか見えないが、それでも彼女が震えているのが分かった。

シュウもそんな彼女を放っておけないのか、ひとまず抱きしめようと、

「っ!?」

シュウの顔に浮かんだ緊張に、アブソルは飛び出す。

その視線が注がれる先はハルカの背中。

アブソルはそちらに回り込み、シュウを驚かせたものを瞳に映した。

”え……?”

鮮やかな彩り。

絹の織物のように薄く、優雅な羽。

ハルカの背に貼り付くように、その服を小さな手で握り締めているポケモンは、

”アゲハント!”

動いた赤に状況を思い出し、皆一斉に戦闘態勢に戻る。

今までただ佇むだけだったバシャーモが二人に向かって走り寄ってくる。

それをまだ距離のある内に迎撃しようとアブソルはツノに力を込め――

”!?”

シュウがこちらに向かい、手をかざした。

その仕草の意味するものは「攻撃をやめろ」。

”何故……!?”

シュウはその問いに答えず、目の前で足を止めたバシャーモに向き直る。

「ぼくの名はシュウ。君達と話がしたい。」

”はあっ!?”

フライゴンとロゼリアが揃って声を上げた。

アメモースと、分かりにくいがバタフリーの目も点。

アブソルも声こそ上げなかったが、口をポカンと開けたまま、呆然とシュウを見つめていた。

「アブソル、君達の言葉に翻訳してくれ。」

そんなこちらに構わず、シュウはバシャーモとじっと見つめ合っている。

”いや、でも、どうして……。”

「説明は後。今のぼくは君達の言葉は分かるけど、人間の言葉を知らないポケモンと会話することは出来ない。バシャーモと話し合うには君達の協力が必要だ。」

”……っ!”

アブソルの心に焦燥とそれを上回る怒りが生まれる。

”何故……!”

埒の明かないシュウの言葉に、アブソルは苛立ちが抑えられなかった。

”何故、こんなポケモン達と話し合う必要があるのです!?あなたを苦しめ、ハルカさんを攫ったポケモンなどと!”

アブソルの叫びに、今まで静かだったバシャーモが瞳に炎を宿らせ、アブソルを睨みつける。

”ハルカさんは渡さない!絶対に渡すものか!!”

”貴様……!”

バシャーモの腕に、赤を通り越して青白くなった炎が生まれる。

「アブソル。」

一触即発の危機の中、それでも静かに響いたのはシュウの声だった。

「君の気持ちは分かる。だけど、君は勘違いしている。彼らはぼく達の大切な存在を傷つけたりしない。彼らの大切なものをぼく達が傷つけないように。」

”何を……!”

「ぼくを信じろ。」

”――っ!”

自らの怒りに染まった赤い瞳がシュウの目に映し出される。

それは湖面のように凪いでいた。

「信じろ。」

重ねられた言葉に、アブソルは圧倒されるしかなかった。

シュウがもう一度、今のやり取りを僅かに目を見張り、驚いたように見つめるバシャーモに向き直る。

座り込んだまま、それでもバシャーモと視線を合わせ、口を開いた。

「バシャーモ、君達はハルカを――エネコを助けに来たんだね。」





9-1に続く

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コメント

No title

お久しぶりです^^
久々の更新でとても嬉しいです。
今回は迫力のあるシーン盛りだくさんで大変おもしろかったです。
とっても次回が気になります。

No title

シュウハルの小説を読ませていただきました
素晴らしい出来で感激しました これからも頑張ってください
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